はじめての大衆演劇 感想メモ
都若丸劇団 9/23昼
大衆演劇というものに興味はありつつ特に行く機会もなくずるずるしていたのですが、三連休にも関わらず観劇予定がなくて虚ろだったので、思いきって行ってきました。
めっちゃ面白かったです!
ピン札キラキラのクリップで襟にとめるし、歌舞伎町でよく見るようなちょっと違うようなカッコで踊るし、お芝居はちゃんと見ごたえあるし、2,000円ちょいで3時間遊べるし、良い娯楽を見つけてしまった。
・客層
おばちゃん~おばあちゃんが八~九割。あとは彼女たちに連れてこられた旦那さんや子供、男性ファン(おじいさん)、若めの女性って感じですね。
土地柄も大きいんでしょうが、客席ノリが圧倒的おばちゃんオーラで開演前からアウェイ感がすごかった…。でもお芝居始まってしばらくした頃には慣れました。これはこういうあったかい感じも文化のひとつなんだろうな。
・席とか
キャパからして当日直前に行ってもいけるだろ~と思ってたんですが、余裕でキャン待ちでした!(だって300席埋まるとは思わないじゃん…座れましたが)
どうも人気のある劇団さんだったみたいです。
キャン待ち席のシステムはよく分からず特に説明もなく…という感じで初めて行く人は事前に誰かに訊くか、行ってから受付とかでちゃんと訊いた方が戸惑いがないんだろうな(WEB媒体で正確な情報を探すのはきつそう)。私はぼーっとまわり見つつ把握しました。
・内容
流れは、顔見せのショー(踊り そんなに長くない)→お芝居(そこそこの長さ)→ショー(踊り そこそこの長さ)で三部構成。休憩二回。
お芝居のあとに、客席で前売り券とアイスモナカ売ってました。
ショー
ごった煮雑多!って感じで最初はンンー!?と思ったんですが、目が慣れると普通に楽しい。
格好(鬘と衣装)が歌舞伎町のお兄さんお姉さん?ヤンキーギャルの成人式?なぜ??と思いましたが(個人的イメージ)、ずっと古風な感じでやるよりはここまで派手にした方がメリハリつくんだろうな~。ショーですからね。楽しければ派手でもなんでもいいよね。
あと格好に関わらず動きが独特というか「芸」なんだなという感じでよかった。その場でくるっと回るときの回り方が好きです。曲がポップスだろうが、あのキュッとスッとまわるクルッなんですよ(何一つ伝わらない説明)。
そして万札って装飾としてこんな綺麗なんだなーー!!というのが新しい発見でした。曲の間奏とかでお客さんがすっとステージに寄って、万札2~3枚を扇状にしたやつを(たぶんテープか何かで固定してある)、髪留めるコンコルドクリップ(キラキラ)で演者の襟にとめるんですけどね。あとから調べたら「お花」って呼んだりするんですね。現ナマなのに全然いやらしくなくて、演者を称える宝飾品のようで、まさに花と呼ばれるべきもの。いい文化だなと思いました。またそれをするお客さんの動きも慣れてらっしゃってスムーズできれいでした。いいものが見れて満足。
お芝居
昔テレビでやってたやつの感じがする…新喜劇と歌舞伎っぽい時代劇の間的な??皆さん声も発声も動きも間もよくて、シンプルだけど見ごたえあり。若俳界隈で虚無ってる皆さん現場と現場の間にこれ見て正気に戻って!?と思いました
歌舞伎っぽいテイストだったので(歌舞伎見たことないけど)、台詞回しとか音調とかがすごく耳に良くて幸せでした。笑いどころとかアドリブもかなりあったんですが、楽しく笑える系の笑いでよかった。(誰かを悪く言ったりしなくても笑いは取れるんだよ…類似業界の各位へ)
内輪ネタと思われるものもあったけど客席が楽しそうだったし全然気にならなかったですね。でもちくわはな!本物のちくわを指にはめてたシーンがあったんですが(笑うところ)、食べ物で遊ぶなと言われて育ったのでソワソワしてしまったよ…。演者がみんなでちくわもしゃもしゃしてたのはシュールでよかった。でも客席の分別あるはずの年齢のおば様がわざわざちくわ準備して同じことをしてステージに見せていたのはドン引きしました(愛だと思ったので不愉快ではなかったです) 私がイイ子ちゃん過ぎるんだろうなごめんね
お芝居の中身としては、
上方で人気の役者が江戸では贔屓がつかず、パワハラ大御所役者に馬鹿にされて殴られたりしてるところに同郷のおこも(乞食)と出会い、前に芝居見たことあるよ良かったよ、贔屓にならせてくれと言われて感動して…という話。(あらすじ書くのが面倒なので、各自「晴れ姿千両役者 」で検索お願いします)
役者さん皆さんその道の人らしい安定感があってほんとに良かったです。特に上方の役者役の役者さんの声の通りとか台詞回しとか音程がめちゃくちゃ好みだったんですよね!背も高いしすっとして見栄えがする方で。非常に眼福でした。目も耳も満足しました。
その役者が、贔屓にならせてくれと乞食に言われてはした金差し出されて、それに感極まって地面に指揃えて頭下げたところのあの感覚をどう言ったらいいんだろう…。あの美しい所作と白い着物と、地面と乞食のコントラスト。
その後諸々あったあとその役者は、贔屓も取れずに役者の命である顔に傷まで付けられて生きている意味など、と言って自分で自分の腹かっ捌こうとするんですよね。
物語の結末としては、大きい贔屓がついてのぼりも沢山はためいてめでたし、なんですが。
なんか、仮にも役者という立場の人のファンである自分にグッサグサに刺さりましたね…。あの役者にとっては、役者であることが生きることと同義なんだなと。それに対して私たちができることはそれこそあってないようなものだけども、少なくとも彼らに対して真摯でいたいなと改めて思ったりしました。
そしてあとから調べたら、お芝居もショーも回替わりらしいですね!?すご(ファンの人全通するの??)
・その他
最後の方に座長さんが挨拶とか間の繋ぎとかで喋ったりされてたんですが、楽しい方で終始客席爆笑。まったく嫌味や臭みのない素敵な笑いでよかったなぁ…。これが人を楽しませる笑いなんだよ…。
あとシステム的に地味に羨ましかったのが前売り券(今後見る時に使えるやつ)ですね…役者さんが客席で売られるんですけど、今日めっちゃよかった!あと何千円か払うべき内容だった!とか思ったら今後行けようが行けまいが買って献金できるじゃん?(使い方間違ってたらすいません) オタク各位がよく「このチケ代で足りるの!?もう少し払わせて!?」って言ってるアレが叶うじゃないですか…。お花にするほどは無理だけど、って額とかでカジュアルに。友だちに無配してもいいしね。
ということで雑多になりましたが、初めての大衆演劇、とても楽しめました。
情報収集の難易度が高いし(各劇団、必要事項が日々更新されるツイ垢と公式WEBページがあればな)(探せてないだけかも)(でもパッと出てこなきゃ意味なくない?)、劇場の予約も取れるんだか取れないんだか劇場によってはよく分からんかったりするので(今どき電話問い合わせ!?)、入りにくいのは間違いないな~と思いました。そのへんもう少し今風にすればもっと人来るのかもしれない。
この分野に限らずなんですけど、客層的にあと20年したらこの文化どーなっちゃうの?と思うので、なんかこう…楽しいのにもったいないよね。
演劇、水族館か遊園地くらいのカジュアルさでみんなが楽しむものになればいいなぁ。