オリビエートの坂の上

観劇のメモを投げ込む予定です

三浦さんの髭切の話~刀ミュつはもの 東京凱旋公演に寄せて~

《ネタバレしてる可能性があるような気もします》

 

 

三浦さんの髭切の話をします。(開口一番の宣言)

 

ミュージカル刀剣乱舞 つはものどもがゆめのあと

東京凱旋公演 1/13 ソワレ

 
 
なんかね...三浦さんの髭切、視界に入ると脳がどろどろに溶ける。そしてそのまま目が姿を追って自動追従する。真剣乱舞祭の時も異常に目を持っていかれるなぁと思ってたんだけど、たまたまかな...?お化粧が好みなのかな...!?バレエっぽい動きが美しいからかな...!?!?ということで片付けようとしてました。

 
なんでそんな悪あがきをしてたかというと(悪あがきでした)、
 
前提として、第一に私は何十口といる刀剣男士の中で、髭切が相当に好きです。五本の指に入るレベルで。なので、たぶんそこそこ細かく拗らせた理想像を持ってます。
第二に、これは単純に個人的に思う差異の話であっていいわるいの話ではないですと前置きした上で、三浦さんの髭切はわたしの髭切、つまりゲームから錬成されたわたしの脳内の髭切像にまったく似てないです。体のフォルムとか、なんなら生物としての雰囲気が、圧倒的に若い。たぶんこれが致命的に脳内の髭切像とずれてる。
 
でもなーーー!!!好きになっちゃったんだよなーーー!!!というか、だからこそ好きになった、という方が正確なんだと思います。
 
三浦さんの髭切は、三浦さんが思う髭切の要素を自分の中に通して凝縮して、それを表現としてぶつけてくる。その表現の媒体が、わたしが似てないと思う若いいきものの身体で。それが強烈に魅力的でした。
端的に言うと、三浦さんが思う髭切の要素のある程度が私のそれと被っていたということだと思うんですけど、そんな理屈とかどうでもいい...ひたすら目で追って浴びたい...もっと摂取したい...
 
ちなみに私の思う(そしておそらく三浦さんの思う)髭切の要素、っていうのは、やさしさとかやわらかさとか聡さ、荒々しさや鋭さや野蛮さ、高貴さ、そしてそれら全部から来る、ひとならざるものの妖艶さです。それがこう、ものすごい独特のインパクトでガッと表現されてて。これが髭切!という概念の原液を浴びせられて、脳がドロドロになった感じ。
荒いんですけど、だからこそ強烈でちょっと暴力的でもある。それがまた髭切さんのある種の野蛮さに通じるものがあって。基本のしなやかで上品な動きも含め、表現の仕方が髭切のイメージと一致してる、表現方法自体が髭切そのもの、って言えばいいんでしょうか。例えば脚を組むことが髭切なのではなくて、脚を組む動き、その動作の間とか雰囲気気配自体が髭切を表現してるというか。
どう書けばいいのか分からないので、とりあえず思いついたことを並べてみます。
 
 
・色っぽさの話
三浦さんの髭切、とにかく色っぽいんですよ。しかも、取って喰われそうな色気。
まずわたしの脳内はここで混乱する。どうやらわたしの中には、こういう類の艶っぽさはもう少し歳を重ねた人が出すものだという思い込みがあって。でも三浦さんほんとに若いんですよ。生物としてありありと若いの。この「えっ...?」ていう戸惑いを脳が処理できないうちに、でも好き...この妖艶さは髭切でしかないし同時に三浦さんでしかない、三浦さんが髭切で髭切が三浦さんだ(?)、ってなってドロドロ脳の完成です。
この色気どこから出てるのかな...。口元かなと思ったり、目元かと思ったり。なんなら私チークの入れ方のせいだと思い込もうとしてましたけどね。そういう艶を意図的に出したり引っ込めたりしてる感じがあったのでこの方の武器のひとつじゃないかなと思ったし自分の見せ方をものすごくわかってらっしゃる感があってまさに魔性...って思ったんですけどなんでもいいや...見てる間頭トロットロだから...。流し目で口の端上げられると意識が一瞬飛びます。
 
・動きの話
動きがものすごく目を引きます。バレエやってらっしゃったとのことで、あとたぶん現代的なダンスも得意でいらっしゃるのかなと思うんですけど、踊ったり斬ったりの動作の雰囲気がほかのキャストさんと違う。柔らかくてふわっとしててしなやかで、軸が通っててとても綺麗。顕著なのがくるっと回る時で(二部ではほんとにバレエみたいな回り方もされるんですけど)、めちゃくちゃ可憐。完全に花の妖精。みてると頭がポワーっとなります。
脚を蹴り上げる動きもよく入れてますよね。バレエのすっと横に飛ぶやつもやるし。やっぱり頭がポワーっとなります。あと脚といえば腰掛けるとき脚組むのが基本ポーズでしたが、毎回脚の動き一つ一つ魅せてる感じで美しかったです。目が吸い寄せられる。最高の戦略的美貌。
 
・笑みの話
敵を斬る時に、ところどころでニッと楽しそうに笑うんですよ...。これも不思議で、三浦さんってかわいらしい妖精フェイスなんですよね(この舞台の上での顔しか存じ上げないけど)。でもなんかこう、髭切の戦闘時立ち絵の、得体の知れない獣のような、笑ったような口元と概念的に似ている...。よくわからないけど概念として髭切の笑み。とても髭切。
 
・歌の話
喋ってる時は髭切らしく高めで柔らかい声なんだけど、歌い始めると重い。高い低いとかではなくドスが効いている(?)というのか。ものすごく堂々と声をぶつけてくるし、なんとなく、ああこの方はここが本領だと思ってらっしゃるのかな、という感じで楽しいです。髭切。重い声。とてもいい。
 
・まばたきの話
まばたきがぱちぱち!!って感じ。やっぱり妖精かな???えーっと~とか言ってるところでぱちぱち!って。かわいいです。うんうん細かいことはどうでもいいよォ~!おおらかにいこ~ッ!ってなる。だってかわいい。
 
・膝丸との話
膝丸との対比がいいんですよ...。意図してキャスティングされてるとは思うんですけど、膝丸はほんと膝丸っぽい硬派なキレのある動きをする。アクション系?ブレイクダンス系?でしょうか。これが髭切のバレエベースのしなやかな動きに、系統が違うのにすごく合ってて。ペアで出てくることが多いしほかのキャストと出てくる時は左右とか対称な位置にいることが多くて、うんうん最高~!ってなります。両端に立たれると圧倒的に目が足りなくてキョロキョロしてしまうよ!あとこの二人が兄弟感出してるのかわいいなぁ~仲のいい兄弟だもんね!
 
 
 
というわけで、伝わったかどうかわからないんですけど、ともかくミュも観てみたーい!ってふわっとした気持ちで行ったらとんでもないすっ転び方をしました。
 
私は2.5次元含め、原作のある(そして原作を知ってる)舞台は役者さんのキャラ解釈とその表現を楽しんでるところが大きくて。体格や声質がキャラに合ってて、まんまそのキャラに見える!っていうのもいいんですけど、どっちかというと物理的要素はあんまりそのキャラっぽくない人が、キャラをどう表現するか、というのをみるのが好きです。
その点三日月なんかは難関だと思ってて、まずあの立ち絵に見た目できっちり似るの無理だからね!!どんなイケメンでも役者さんは人間なので三日月さんの見た目にはなれないから!というとこからガチ解釈してくださって確立されてるミュとステの三日月像、わたしの中の三日月さん像とはまったく別物ですが、どちらもすごく三日月だし、すごく好きです。(というか原作ゲーム、立ち絵数枚しかないし...OPの3Dモデル以外動かないしそこから納得性のあるキャラ造形・表現されるのすごいとしか言えない)
で、今回の三浦さんの髭切です。三日月はどちらもわりと精密さ・理詰めで殴られる感があるのですが、三浦さんのはこう、芸術的というか感覚的な殴られ方をした気がします。概念と表現が強烈だった。この殴られ方好きです。最高に気持ちいい。殴られて吹っ飛んで転がり落ちてサイコー幸せ!ってなる。
あと、これって見られるのひょっとして今だけなのでは?とも思いました。(違ってたら申し訳ないのですが)舞台慣れしてらっしゃるんだなと思った一方、お芝居の経験がものすごくある!という感じではない気がしたので、これからある種の演技技術的なものができてくるとこの原液そのまま!!みたいな表現じゃなくなるかもしれないじゃないですか…。いやわからないですけども。なんかその時々にしかできない表現ってあると思うので。
 解釈の深さ緻密さとかお芝居や歌の上手さで圧倒されるのも好きだけど、今回みたいに概念バーン!ってされるのもとてもいい。とても好き。とにかくこの感覚が好き。
 
 
.........あれ、ここまで書いてふと思ったんですけど。
私はいつも演劇を見てるから演劇脳の見方考え方をしてたけど、この表現方法自体が髭切、っていうのはひょっとしたらセリフや日常動作で物語が進むわけではないバレエやダンスでは当たり前の表現方法なんでしょうか?
バレエの公演もダンスの公演も観たことがないからわからないけど、例えば穏やかな人、っていうのを表現するときに、お芝居ならまったりお茶を飲んでる演技をして「いい天気だな~」って言えばいいけど、バレエでそれはしないじゃないですか。なら、踊る動作をゆったりするとか、バーンとぶつける表現をするんじゃなくてじわじわと、とか、表現方法自体で表現する...のかな?
仮にそうだとするとすごく納得できる部分がある、気がするし、演劇という括りの中ではすごい独自性のように思う。演劇に詳しいわけでもないのでわからないですけど。少なくとも私の中では新鮮だし、ものすごく目を惹きます。
 
そういう背景があるにせよないにせよ、この表現方法で表現する、っていうの、これからお芝居される中でも続けてほしいなあ。ものすごく揺さぶられたし刺さったし、鮮烈だったので。演劇から入った役者さんには、というか、素養とその方向性の努力がないと容易に持ちえない表現方法じゃないかとも思うんですよね。
 
というのはまったくの素人の想像なので、的外れなら読み流してください。
ともかく、ミュージカル系のお芝居はほとんど見たことがなかったのですが、三浦さんのこれからのほかの舞台も観てみたいなぁと思います。
 
 
 
おまけ
 
・全体の話
今までの公演全部配信で予習して行ったんですけど、三条メンバーいろいろ全部すっごい成長してますね...。ミュ三条担当の方、みなさんの推しめっちゃ努力家...。特に小狐丸さんのファンの方、なんというか、おめでとうございます。ほんとにすごいと思います。努力されたんだなと。すごい。よかったです、冒頭。
脚本的にもみほとせあたりから遠慮なくグサグサ刺してくるようになって...いいぞもっとやってください。
 
・三日月の話
三日月さんはもう!ミュでもステでもそういうことするの、めっ!(号泣)
でもそれが三日月なんだよなぁ...何もしらなくていいから、ミュあるじさんは精一杯三日月をよしよししてあげてください...お菓子もいっぱいあげてね...。
ミュもステも三日月さんはこわく見える時がありますよね。それぞれ種類の違う怖さ。月の見えてない部分は、見えてない人にとっては闇、という喩え、いいなぁと思いながら観てました。三日月さんはどこまでも三日月だ。
 
あと三日月だけじゃなくて全編全員ですが、ミュは「ひとになった刀の話」なんだなあ...。ステはモノ意識が徹底されてると感じるので、どちらもそれぞれ非常に面白いです。
 
 
 
・戻って三浦さんの話
杞憂なら嬉しいんですが、少しふらつかれてるように見えたところがあったので、ほんとに......無理をしなくてはいけないタイミングはあると思うので(ていうか今ですよね)無理をしないでとは絶対言えないんですけど、出来うる限り心身を大切にしてください...。
 
(ここで私がそんなこと言ってもどうしようもないのはわかってるんですけどね!
完全に私事なんですけど、自分が仕事で心身壊しかけてからやたらめったらひとさまが心配になる病にかかっています)
 
あと一部の中盤だったかのダンス?歌?のあとで(記憶がない)、息遣いが聞こえるくらい息上がって頬が上気して(るように見え)たところがあって、この顔演技じゃなくて素だろうし、ちょっと衆目に晒してはいけない類の艶っぽさでは...?もっと自分を大事にして(?)って思ったところがあったんですけど、これも調子悪くて息が苦しかったのかなぁと後から思ってうぅってなってます。いやわかんないですけど。
 
ほんとにこのくらいの年齢の方はみんな世界の宝なので...うん...。未来のある若者に健やかにいてほしい...。お祈りするくらいしかできないですけどね。
 
※というか勘違いだったらごめんなさいだし元気ならとても嬉しいです。
 
 
ミュは昨年末のらぶフェスとこのつはものが初めてだったんですが、いいものですね!
次の新作はどんなのかな~!