オリビエートの坂の上

観劇のメモを投げ込む予定です

祝地上波!!!カフカの東京絶望日記 感想というか希望の話

 

祝地上波!!!

おめでとうございます!!!


あのシュールで美しいカフカが地上波に乗ってると思うと、超テンション上がりますね。

ということでこの作品の個人的な好きポイントをまとめました。(すでに2つ記事書いてるので再放送だけども)

 

 

作り手の宇宙

 

1話初見時(YouTube)、何を見たか皆目わからなくて3回見たんですけど、やっぱり何を見たのかわからなくて宇宙を見た顔になりました。


まず、しょっぱな冒頭から謎のおじさんがドヤ顔で喋り続けている。
私はこれがめっちゃツボで飲み物吹き出したんですけど、視聴者ウケ考えてる?大丈夫?wってなりました。
動画は最初の数秒が勝負です。私も趣味で動画作ったり見たりする人間ですけど、特にYouTubeの動画なんかはそうで、最初の数秒で「んー?」と思ったら即閉じちゃう。動画っていっぱいありますからね。
そこで無難に鈴木さん(カフカ)の顔出してこなかったの、すごい度胸というか思い切ってんなーと。


どういう意図で作ってるんだ?と思いながら観てたら、出るわ出るわ謎カット。
歯磨き・・・?髭剃り・・・?
ネクタイ締める手の動き、あんなに映すか???
コアなファンのウケを狙ってると思えなくもないけど、それにしては観点がガチすぎる。


これはまさか・・・作った人が見たいものを見せられている・・・。
もうその時点でこの作品のこと、めちゃくちゃ好きになってしまいました。

 

私は作りたいと思って作られたものが好きです。
もちろんビジネスとしてデザインされたものもそれはそれでよくて全く否定する意図はないのですが、画面から「俺はこれが好きなんだよ!!!!」っていう気持ちがゴリゴリに伝わってくるものは無条件に(他人の尊厳を尊重している限り)見ていて楽しい。
たとえその好きポイントが自分には理解できなくても、です。

 

ネクタイ締めるとこが見たい!!みたいな、作り手の(鈴木さんへの)好きポイントも私にはよくわからなくて、でもその「作り手の宇宙」というべきものを堂々と陳列されるのが私はすごく好みに合いました。
作品なんて、他人の宇宙であるのが一番楽しいに決まっている。
この作品を「摩訶不思議コメディ」と銘打っていたWEB記事があったと思いますが、まさにそれ。他人の宇宙は摩訶不思議で面白い。

 

ちなみに私は(ネクタイ締めるとこを見るのに執着心がなくても)鈴木さんのファンなので、
「見て!このネクタイ締めるときのこの(以下略)」
みたいな情熱を、この作品を通して体験できるのが嬉しいなと思います。
好きな人への好きな気持ちはたくさん色んな種類があったほうがハッピーですよね。
好きな人を、その人を好きな人の目を通して見るという贅沢を味合わせてもらっています。

 


新しい時代の希望

 

唐突に大きい話をしますが、現代社会は多様化の時代です。
望むと望まざるとに関わらず、生き方、価値観、選択肢がどんどん増え続けている。
そして留まることなく多様化している一方で、「はみ出たものを叩こう運動」は未だ根強く健在です。
同一同質であれという強迫観念は多くの人に巣くったままで、(もはや変わり者の定義が難しくなっているにも関わらず)変わり者を排除する。

例えば現実にこのカフカがいたら、普通に社会から弾き出されると思うんですよね。
だって「変人」だから。「私たちと同じじゃない」から。

 

でもこのドラマの登場人物たちは、カフカという人間を自然にそのまま受け止めている。
カフカが叫びだしても「あ~叫びだしたな~」という顔をして見守っているだけ。


カフカ以外の登場人物にも、女装癖とか刺青とか前科ありの声優志望とか今の日本社会では爪弾きにされそうなバックグラウンドの設定が付いているけど、みんなそれを(少なくとも作中では)どうこう言われることも言うこともなく、また自分で引け目に思ったりすることもなくフツーに生きている。

それがあまりに夢のようで、すごい新時代だ・・・!もはや近未来SFだ!?!?と観てて思いました。

 

そしてそれは多様性に寛容とかいうより、自分は自分 他人は他人としてちゃんと分けて認識して、かつ適切な距離を保つ、ということかもしれない。
(ちょっと別の角度の話ですけど、この作品の登場人物、周りと普通に友好的な人間関係を築くけど踏み込まないですよね。1話の瑠璃香さんとか顕著だなと思うんですが)

 

で、多様化するってある面ではしんどいこともあると思うんですよ。
選択肢があるということは、自分で考えて自分で選んで自分で決めないといけないので。(ほんとはどんな時代だろうがそうなんですけど、そうしないといけない度合いが強めという話)
画一的な幸せや正義が存在しえなくて、自分で考えないといけないけど分かんなくてあーどーしよかなーと五里霧中になったときに、カフカの存在がささやかなヒント、大げさに言えば救いになるのではないかな、という感覚を持ちました。

カフカの絶望ムーブって一人称なんですよね。常に「僕は」という帰結。

人を救う言葉がもしあるとすれば、それは「あなたは」という二人称を主語にした言葉ではなくて「僕は」という一人称の言葉だけなのではないかな。

人は人を救えなくて、似たものがあるとすれば「誰かの行動で結果的に救われる」なので。
カフカさんの一人称の絶望は、結果的に人に救い、というよりもっと柔らかい希望、を与えることがあるのだろうなと思います。
直接こうしろこれがいいよと言われるわけではない、霧の中でぼんやり灯りを見るような、新しい時代における希望。

 

多様性があたりまえである世界観も、その世界で迷う人々にカフカという灯火を示しているのも、やさしい作品だなぁと思います。
フィクションとはいえこんな世界があるのなら、私もちょっと頑張って地面這ってみようかなと思えるんですよ。

公式サイトで鈴木さんが
「たまたま地上波放送で見かけた人の希望になるようなそんな瞬間があればうれしく思います。」
とコメントしていますが、私にとってはこの作品のそういうやさしさが希望だなと思います。

 


さて現状2話までオンエア&配信されたところです。この先は完全初見、未知の領域・・・!(虫籠のときも同じこと言ってたな)
次回予告のキャンプも楽しみだし、番宣ラストの笑顔ホップステップが気になりすぎる。
最速リアタイできない人にもTVerという素晴らしい媒体があるので、ソワソワしながら待たなくていいしね・・・ありがとうTVer

 

そして地上波ということは各局に応援のおたよりが出せるんですよ!!!
ぜひ感想等送って盛り上げていきましょう。


★各局のご意見ご感想用フォーム★

MBS毎日放送
https://www.mbs.jp/sp/opinion/
テレ玉テレビ埼玉
https://www.teletama.jp/cgi-bin/teletama/form.cgi
チバテレ(千葉テレビ放送
https://www.chiba-tv.com/support/1019
テレビ神奈川は番組への感想フォームがなさそうなので、MBSに送ればいいかと思います。

 


ちなみに一話はYouTubeで観れるんですが、テレビ放送版でカットされたシーンがひとつ入ってるので要チェックです。(あれ好きだったのにな・・・尺都合?)

www.youtube.com

www.youtube.com

 

そして実はメイキングも上がってるんだよ!!

www.youtube.com